くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ
とっても柔らかくてあたたかい絵本のような映画。
だがその柔らかさに浸っているのもつかの間、盗みやら裁判やら結構ハラハラさせられた。
私は人に怒られるのが嫌いでその様子を見ているのも苦手なので、アーネストとセレスティーヌが悪さをしてるのを見てるのもちょっとだめだった。
でも裁判のシーンで二人が堂々と気持ちを言葉にしているのを見て、あぁこの二人は心配する必要はない、と思わせてくれたので二回目に見る時は大丈夫かもしれない。
不安になるシーンが少しあっても最終的にハッピーエンドだと安心して見れる。
けど不安になるシーンの量が多いとそれでも見れないんだよな。
アーネストのシーツが下に沈んでいってお菓子の夢を見るシーン、私も眠る前にベッドが下に沈むのを想像したことが何度もあるからそれを可視化してくれた感じだった。
それやっぱりなるよね!となった。
私の場合シーツが破けて下に落ちるまで想像したことはないけど。
セレスティーヌがアーネストの絵を描いてたらくしゃみで飛ばされた時、セレスティーヌは怒るのかと思ったら「病気なの?横になって、水を飲まないと」と心配していてなんて優しい子なのと思った。
私だったら「ちょっとぉーくしゃみする時は横向いて口塞いでよ」とか言っちゃう。
雪が降れば傘をさして二人で眠り、怖い夢を見れば寄り添い、悪いニュースが入れば不安にさせないようになんでもないよと言い、自分の身に危険が迫っているのにお互いのことをかばいあい、言葉にしなくとも確かにそこには愛があった。
それまで口に出さなかったからこそ、何を望む?と聞かれた時に二人揃って「ずっと一緒に暮らしたい」と言ったところジーンときた。
お菓子を売って虫歯にさせて歯医者に行かせる、っていう仕組みが経済の縮図を見ているようだった。
くまが好きなはずなのにあの夫婦は可愛く見えない…。
一本の線に音がついて、それがどんどんどんどん形になって、絵になって、春がやってくるところ、一番好きなシーンだった。
セレスティーヌが描いた絵が動いているのだと思うとさらにいとおしい。
この映画はセレスティーヌがつくったお話なのかな。
映画をみていると、その世界の中に自分がちょくちょくしゃしゃり出てきて、それがなんだか嫌だなと思う時がある。
こんなに思ったことを文字にしといてなんだけど、こうやって感想を書こうと思っているとさらに自分が強くなる気がする。
何も考えずにただただ映画の世界に浸っていたいのに、自分が頭をよぎってくる。
なんでもかんでも自分のことと繋げて考えないで、その世界観だけを楽しみたい。
それでいい時もあるんだけど、この映画に関してはそんなに自分いらないなーと思った。
(とはいっても、大人の固定観念を鵜呑みにしないで疑ってみるとか、子どもたちは大人の言うことを真似するからやたらと怖がらないようにしようとか、音楽や絵やしたいことがあるなら周りの圧力に屈せず自分の気持ちを大事にしようとか、現実世界に通用する大事なことを教えてくれる物語でもあった。これは忘れずにいよう。)
セレスティーヌのうんうん、うーん…、ん?、とかの声がとってもキュートだった。
吹替版も見てみよう。
将来子どもが生まれたらこの映画を見てほしいな。